コーヒー豆の商品説明を見ていると、
- アラビカ
- ロブスタ
- ティピカ
- ブルボン
- ゲイシャ
といった名前を見かけることがあります。
これらはすべて同じ意味ではありません。
「アラビカ」や「カネフォラ」はコーヒーの大きな分類である種を表し、「ティピカ」や「ブルボン」「ゲイシャ」などは、その中にある品種として扱われます。
種や品種が違うと、香りや酸味、甘さ、口当たりなどに違いが出ることがあります。
ただし、コーヒーの味は種や品種だけで決まるわけではありません。産地、標高、精製方法、焙煎度、抽出方法など、さまざまな要素が組み合わさって一杯の味が作られます。
この記事では、コーヒーの「種」と「品種」の違いから、アラビカ種とロブスタの特徴、代表的な品種まで、初心者向けに分かりやすく解説します。
コーヒーにも「品種」がある
お米にコシヒカリやあきたこまち、ぶどうにさまざまな品種があるように、コーヒーにも多くの品種があります。
私たちが普段飲んでいるコーヒーは、コーヒーノキという植物の種子を焙煎したものです。
コーヒーノキには複数の種があり、その中でも商業的に広く流通しているものとして、主に次の2つが知られています。
- アラビカ種(Coffea arabica)
- カネフォラ種(Coffea canephora)
一般には、カネフォラ種のコーヒーを「ロブスタ」と呼ぶことが多く、商品説明でも「アラビカとロブスタ」という比較がよく使われています。
「種」と「品種」はどう違う?
コーヒーを理解するときに、まず知っておきたいのが「種」と「品種」の違いです。
大まかには、次のように考えると分かりやすくなります。
| 分類 | 例 | イメージ |
|---|---|---|
| 種 | アラビカ種、カネフォラ種 | コーヒーの大きな分類 |
| 品種・栽培品種など | ティピカ、ブルボン、カトゥーラ、ゲイシャなど | その中にある、より細かな違い |
たとえば「アラビカ種」という大きな分類の中に、ティピカやブルボン、ゲイシャなど多くの品種があります。
商品説明で「アラビカ100%」と書かれていても、それだけでは細かな品種までは分からない場合があります。
アラビカ種とは?
アラビカ種は、スペシャルティコーヒーを含め、世界各地で広く栽培されているコーヒーです。
一般的には、香りや甘さ、酸味などの複雑な風味を楽しみやすいとされています。
アラビカ種の味の傾向
アラビカ種には、一般的に次のような特徴があります。
- 香りが豊か
- 酸味や甘さを感じやすい
- 味わいに複雑さが出やすい
- 産地や品種の個性を楽しみやすい
ただし、アラビカ種だから必ず酸味が強いわけではありません。
中煎りや中深煎りにすると、酸味だけでなく甘さ、香ばしさ、コクとのバランスも感じやすくなります。
ロブスタとは?
一般に「ロブスタ」と呼ばれるコーヒーは、カネフォラ種に属するコーヒーです。
アラビカ種と比べて丈夫で、比較的高温の地域でも栽培しやすいとされています。
ロブスタの味の傾向
一般的には、次のような傾向があります。
- 苦味を感じやすい
- 力強いコクが出やすい
- 香ばしさを感じやすい
- アラビカ種よりカフェイン含有量が多い傾向がある
インスタントコーヒーやブレンド、エスプレッソ用のコーヒーなどに使われることがあります。
一方で、「ロブスタだから品質が低い」と単純に考えるのは適切ではありません。
栽培や収穫、精製を丁寧に行い、品質を高めたカネフォラ種のコーヒーもあります。
アラビカとロブスタの違い
| 項目 | アラビカ種 | カネフォラ種(ロブスタ) |
|---|---|---|
| 味の傾向 | 香り、甘さ、酸味、複雑さを楽しみやすい | 苦味、力強いコクを感じやすい |
| 栽培 | 環境の影響を受けやすい | 比較的丈夫 |
| カフェイン | 比較的少なめ | 比較的多め |
| 主な用途 | レギュラーコーヒー、ブレンドなど幅広く使用 | ブレンド、エスプレッソ、インスタントなど幅広く使用 |
この表は一般的な傾向です。
実際の味や品質は、栽培環境、収穫、精製、焙煎などによって大きく変わります。
代表的なコーヒーの品種
ここからは、アラビカ種の中でよく名前を見かける代表的な品種を紹介します。
ティピカ
ティピカは、アラビカ種を代表する古くから知られている品種のひとつです。
さまざまな品種のルーツにもなっています。
一般的には、きれいな酸味や上品な甘さ、バランスのよい味わいを持つと表現されることがあります。
一方で、収量が多い品種ではなく、病害にも強いとはいえないため、生産面では扱いが難しいことがあります。
ブルボン
ブルボンも、アラビカ種を代表する重要な品種です。
一般的には、甘さを感じやすく、丸みのある口当たりやバランスのよい味わいにつながることがあります。
ブルボンから派生した品種も多く、現在のコーヒー品種を理解するうえで重要な存在です。
カトゥーラ
カトゥーラは、ブルボンから生じた突然変異として知られる品種です。
比較的樹高が低く、栽培管理や収穫を行いやすいことから、中南米を中心に広く栽培されてきました。
味わいは栽培環境や精製方法によって変わりますが、明るい酸味やバランスのよい味わいを感じることがあります。
カトゥアイ
カトゥアイは、カトゥーラとムンドノーボを交配して作られた品種です。
比較的樹高が低く、風などへの耐性も考慮して開発され、中南米のさまざまな地域で栽培されています。
イエローカトゥアイ、レッドカトゥアイなど、熟した果実の色によって異なる名前で紹介されることもあります。
SL28
SL28は、ケニアのコーヒーでよく名前を見かける品種です。
栽培環境や精製方法にもよりますが、カシスやベリー、柑橘などを思わせる明るい風味を持つコーヒーとして紹介されることがあります。
ケニアのスペシャルティコーヒーを飲む際に、覚えておくと楽しみが広がる品種のひとつです。
ゲイシャ(ゲシャ)
ゲイシャは、スペシャルティコーヒーの世界で特に知名度の高い品種です。
「ゲシャ(Gesha)」と表記されることもあります。
一般的には、ジャスミンなどの花を思わせる香り、柑橘やトロピカルフルーツのような華やかな風味で評価されることがあります。
特にパナマ産のゲイシャが高品質なコーヒーとして世界的に知られるようになりました。
ただし、「ゲイシャという品種だから必ず高品質」というわけではありません。
栽培環境、収穫、精製、焙煎などが適切に行われて初めて、その豆の特徴が生かされます。
品種が違うと味も変わる?
品種は、コーヒーの味を作る重要な要素のひとつです。
品種によって、香り、酸味、甘さ、口当たりなどに違いが現れることがあります。
しかし、「この品種なら必ずこの味」と断定することはできません。
コーヒーの味には、ほかにも次のような要素が関係します。
- 生産国や地域
- 標高
- 気温や降水量
- 土壌
- 収穫時の熟度
- 精製方法
- 乾燥方法
- 焙煎度
- 抽出方法
品種は、コーヒーの味を予想するための「手がかりのひとつ」と考えるのがおすすめです。
精製方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
コーヒーの精製方法とは?ウォッシュド・ナチュラル・ハニーの違い
「産地」と「品種」も別のもの
初心者が混同しやすいのが、産地と品種です。
たとえば、
- ブラジル
- エチオピア
- ケニア
- グアテマラ
などは生産国・産地を示しています。
一方、ティピカ、ブルボン、カトゥーラ、ゲイシャなどは品種を示す言葉です。
同じ品種でも、栽培される国や地域が違えば、気候や標高、土壌などが変わるため、味わいも変化します。
産地による味の違いについては、こちらの記事でも解説しています。
初心者は品種をどこまで気にすればいい?
コーヒー初心者の場合、最初から品種をすべて覚える必要はありません。
まずは商品説明に品種が書かれていたときに、
「これは産地ではなく、コーヒーの植物そのものの違いなんだ」
と分かるだけでも十分です。
コーヒーを選ぶときは、品種だけでなく、次の順番で見ると選びやすくなります。
- 焙煎度
- 苦味・酸味・甘さなどの味わい
- 産地
- 精製方法
- 品種
特に「酸味が苦手」「苦すぎないコーヒーが好き」など、好みがある場合は、品種だけを見るより焙煎度や味の説明を優先した方が失敗しにくくなります。
スペシャルティコーヒーと品種の関係
スペシャルティコーヒーの商品ページでは、一般的なコーヒーよりも、品種、精製方法、農園、標高など細かな情報が紹介されていることがあります。
これは、それぞれの豆がどのような環境で作られ、どのような特徴を持っているかを知る手がかりになります。
ただし、品種名が書かれていること自体がスペシャルティコーヒーの条件というわけではありません。
スペシャルティコーヒーについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
スペシャルティコーヒーとは?普通のコーヒーとの違いを初心者向けに解説
よくある質問
アラビカ100%なら必ずおいしいですか?
アラビカ100%だから必ずおいしいとは限りません。
種だけでなく、生豆の品質、品種、栽培環境、収穫、精製、保管、焙煎、抽出などによって味は変わります。
アラビカ100%という表示は、コーヒーを選ぶための情報のひとつとして考えるとよいでしょう。
ロブスタは品質が低いコーヒーですか?
一概にはいえません。
一般的なロブスタには苦味が強いものも多くありますが、栽培や収穫、精製を丁寧に行った高品質なカネフォラ種もあります。
ゲイシャは一番おいしい品種ですか?
ゲイシャは華やかな香りで高く評価されることがありますが、「一番おいしい」と決まっているわけではありません。
コーヒーの好みは人によって異なります。
華やかな香りが好きな人もいれば、チョコレートやナッツのような落ち着いた味わいを好む人もいます。
同じ品種なら同じ味になりますか?
同じ味にはなりません。
同じ品種でも、生産地、標高、気候、精製方法、焙煎度などによって味は大きく変わります。
コーヒー豆を買うとき、品種が書かれていなくても問題ありませんか?
問題ありません。
すべての商品に品種が記載されているわけではありません。
初心者の場合は、焙煎度や味わいの説明から選ぶだけでも、自分に合うコーヒーを十分探すことができます。
まとめ
コーヒーにもさまざまな種や品種があります。
大きな分類として、広く知られているものがアラビカ種とカネフォラ種です。
さらにアラビカ種の中には、
- ティピカ
- ブルボン
- カトゥーラ
- カトゥアイ
- SL28
- ゲイシャ
など、さまざまな品種があります。
品種によって味わいの傾向が変わることはありますが、コーヒーの味は品種だけで決まりません。
産地、標高、精製方法、焙煎度、抽出など、さまざまな条件が組み合わさっています。
初心者のうちは品種名をすべて覚える必要はありません。
まずは焙煎度や味わいを基準に選び、気に入ったコーヒーの品種を少しずつ確認していくと、コーヒー選びがより楽しくなります。
自分に合うコーヒーを探してみたい方へ
東雲 Coffee Roastersで取り扱っているコーヒー豆は、すべてスペシャルティコーヒーです。
苦すぎず、酸っぱすぎない、毎日飲みやすい味わいを大切に、中煎り・中深煎りを中心に焙煎しています。
品種だけにこだわらず、産地や焙煎度、味わいの説明を見ながら、自分に合う一杯を探してみてください。
