コーヒー豆の商品説明を見ていると、
- ウォッシュド
- ナチュラル
- ハニープロセス
といった言葉を見かけることがあります。
これらは焙煎方法ではなく、収穫したコーヒーチェリーから種子を取り出し、生豆に仕上げるまでの「精製方法」を表す言葉です。
精製方法が違うと、同じ産地や品種のコーヒーでも、香りや甘さ、酸味、口当たりに違いが出ることがあります。
この記事では、代表的な精製方法であるウォッシュド、ナチュラル、ハニープロセスの違いを、コーヒー初心者にも分かりやすく解説します。
コーヒーの精製方法とは?
コーヒー豆は、最初から茶色い豆の状態で木になっているわけではありません。
コーヒーの木には、熟すと赤色や黄色になる「コーヒーチェリー」と呼ばれる果実が実ります。
私たちが普段見ているコーヒー豆は、この果実の中にある種子を取り出し、乾燥させたものです。
収穫したコーヒーチェリーから、果肉や粘液質などを取り除き、生豆として保管できる状態にするまでの工程を「精製」といいます。
代表的な精製方法には、次の3つがあります。
- ウォッシュド
- ナチュラル
- ハニープロセス
精製方法によって、果実をどの段階で取り除くか、どの状態で乾燥させるかが異なります。
コーヒーチェリーが生豆になるまで
細かな工程は生産地や農園によって異なりますが、コーヒーチェリーが生豆になるまでの流れは、おおむね次のようになります。
- 熟したコーヒーチェリーを収穫する
- 果肉や粘液質を取り除く、または果実のまま乾燥させる
- 水分量を調整しながら乾燥させる
- 乾燥後の殻などを取り除く
- 選別して生豆に仕上げる
ウォッシュド、ナチュラル、ハニーの大きな違いは、主に「果肉や粘液質をどのくらい残した状態で乾燥させるか」にあります。
ウォッシュドとは?
ウォッシュドは、日本語では「水洗式」と呼ばれる精製方法です。
収穫したコーヒーチェリーから果皮や果肉を取り除き、パーチメントの周囲に残った粘液質を、発酵や機械処理、水洗などによって除去してから乾燥させます。
果実の部分を比較的早い段階で取り除いて乾燥させるため、豆そのものが持つ風味や酸味が分かりやすく表れやすい方法です。
ウォッシュドの味の傾向
ウォッシュドのコーヒーには、一般的に次のような傾向があります。
- すっきりとした口当たり
- 味の輪郭が分かりやすい
- きれいな酸味を感じやすい
- 後味が軽やか
- 産地や品種の特徴が表れやすい
ただし、ウォッシュドだから必ず酸味が強くなるわけではありません。
焙煎度が深くなれば香ばしさやコクが出やすくなり、中煎りや中深煎りでは、すっきりしながらも甘さやバランスを感じられることがあります。
ウォッシュドがおすすめの人
- 後味がすっきりしたコーヒーが好きな人
- 雑味の少ない味わいを選びたい人
- 産地ごとの違いを感じてみたい人
- 毎日飲みやすいコーヒーを探している人
ナチュラルとは?
ナチュラルは、日本語では「非水洗式」や「乾燥式」と呼ばれる精製方法です。
収穫したコーヒーチェリーを、果肉が付いたまま乾燥させます。
乾燥後に、果皮や果肉、殻などを取り除き、生豆に仕上げます。
果実に包まれた状態で乾燥させるため、果実由来の甘さや香りが豆に影響しやすいとされています。
ナチュラルの味の傾向
ナチュラルのコーヒーには、一般的に次のような傾向があります。
- 果実を思わせる香り
- しっかりとした甘さ
- 丸みのある口当たり
- ベリーやドライフルーツのような風味
- 余韻が長く感じられることがある
ウォッシュドと比べると、華やかさや個性的な香りを感じやすい場合があります。
一方で、発酵感のある風味や、熟した果実のような香りが強く出ることもあります。そのため、同じナチュラルでも、すっきりしたものから個性の強いものまで幅があります。
ナチュラルがおすすめの人
- 甘さを感じやすいコーヒーが好きな人
- 果実感のある香りを楽しみたい人
- 個性的なコーヒーを試してみたい人
- 香りや余韻をゆっくり楽しみたい人
ハニープロセスとは?
ハニープロセスは、コーヒーチェリーの果皮や果肉を取り除いたあと、種子を覆うパーチメントの周囲にある粘液質を一部残した状態で乾燥させる精製方法です。
ここでいう「ハニー」は、はちみつを加えているという意味ではありません。
パーチメントの周囲に残る粘液質が、はちみつのように粘り気を持っていることから、ハニープロセスと呼ばれています。
ウォッシュドでは粘液質を比較的しっかり取り除きますが、ハニープロセスでは、その一部を残して乾燥させます。
そのため、ウォッシュドのすっきり感と、ナチュラルの甘さの両方を感じやすいと説明されることがあります。
ハニープロセスの味の傾向
ハニープロセスのコーヒーには、一般的に次のような傾向があります。
- やわらかな甘さ
- 丸みのある口当たり
- ウォッシュドよりも甘さを感じやすい
- ナチュラルよりもすっきり感じることがある
- 酸味と甘さのバランスを楽しみやすい
ただし、ハニープロセスにもさまざまな方法があります。
粘液質をどの程度残すか、乾燥にどのくらい時間をかけるかによって、味の印象は変わります。
イエローハニー、レッドハニー、ブラックハニーとは?
ハニープロセスには、イエローハニー、レッドハニー、ブラックハニーなどの表記が使われることがあります。
一般的には、残す粘液質の量や乾燥方法、乾燥期間などの違いを表します。
ただし、呼び方や基準は生産国、農園、生産者によって異なる場合があります。
「ブラックハニーだから必ず濃厚」「イエローハニーだから必ず軽い」と決めつけず、商品説明や実際の味わいも合わせて確認することが大切です。
ハニープロセスがおすすめの人
- すっきり感と甘さの両方を楽しみたい人
- ナチュラルほど強い果実感は求めていない人
- ウォッシュド以外の精製方法を試してみたい人
- バランスのよい味わいが好きな人
ウォッシュド・ナチュラル・ハニーの違い
| 精製方法 | 乾燥時の状態 | 味の傾向 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|
| ウォッシュド | 果肉や粘液質を取り除いて乾燥 | すっきり、きれいな酸味、味の輪郭が明確 | 軽やかで飲みやすい味が好きな人 |
| ナチュラル | 果実が付いたまま乾燥 | 甘さ、果実感、華やかな香り | 個性的な香りや甘さを楽しみたい人 |
| ハニー | 粘液質を一部残して乾燥 | 甘さとすっきり感のバランス | ウォッシュドとナチュラルの中間的な味を試したい人 |
この表は、代表的な傾向をまとめたものです。
実際の味は、精製方法だけでなく、産地、品種、標高、収穫時期、乾燥方法、保管状態、焙煎度などによっても変わります。
初心者はどの精製方法を選べばよい?
初めて精製方法を意識してコーヒーを選ぶ場合は、自分が普段どのような味を好むかを基準にすると選びやすくなります。
すっきりした味が好きな場合
後味が軽く、飲みやすいコーヒーが好きなら、ウォッシュドから試してみるとよいでしょう。
ただし、浅煎りでは酸味を感じやすい場合があります。酸味が苦手な人は、中煎りや中深煎りのウォッシュドを選ぶと、甘さやコクとのバランスを取りやすくなります。
甘さや果実感を楽しみたい場合
ベリーや熟した果実のような香りを楽しみたいなら、ナチュラルがおすすめです。
商品説明に「ベリー」「ワイン」「ドライフルーツ」「発酵感」などの言葉がある場合は、比較的個性の強い味わいである可能性があります。
バランスを重視したい場合
ウォッシュドのすっきり感と、ナチュラルの甘さの両方を試してみたいなら、ハニープロセスが選択肢になります。
ただし、ハニープロセスにも幅があるため、商品説明に書かれている焙煎度や味の特徴も確認しましょう。
精製方法だけでコーヒーの味は決まらない
精製方法は、コーヒーの味を考えるうえで重要な要素のひとつです。
しかし、精製方法だけを見て、味を完全に予想することはできません。
コーヒーの味には、次のような要素も関係します。
- 生産国や地域
- 農園や生産者
- コーヒーの品種
- 栽培された標高
- 収穫時の熟度
- 発酵や乾燥の方法
- 焙煎度
- 抽出方法
たとえば、同じウォッシュドでも、浅煎りと中深煎りでは味の印象が大きく異なります。
浅煎りでは酸味や華やかな香りが出やすく、中煎りでは甘さとのバランスが取りやすくなります。中深煎りでは、香ばしさやコクを感じやすくなります。
精製方法は、味を決める唯一の条件ではなく、コーヒーを選ぶための手がかりのひとつとして考えるのがおすすめです。
商品説明で精製方法を見るときのポイント
コーヒー豆を選ぶときは、精製方法だけでなく、次の項目も合わせて確認しましょう。
- 焙煎度
- 味の説明
- 香りの特徴
- 酸味の強さ
- コクの強さ
- おすすめの飲み方
たとえば、ナチュラルと書かれていても、深めに焙煎されていれば、果実感よりもコクや香ばしさを強く感じる場合があります。
反対に、ウォッシュドでも浅煎りなら、明るい酸味や花のような香りを感じることがあります。
精製方法と焙煎度を一緒に見ることで、購入前に味を想像しやすくなります。
精製方法の違いを飲み比べる方法
精製方法による違いを知りたい場合は、条件が近いコーヒーを飲み比べるのがおすすめです。
理想的なのは、同じ産地、同じ品種、近い焙煎度で、精製方法だけが違うコーヒーを比較することです。
ただし、一般のショップでは、すべての条件がそろった商品を見つけるのが難しいこともあります。
その場合は、次の点を意識してみてください。
- できるだけ焙煎度が近い豆を選ぶ
- 同じ抽出器具を使う
- 豆とお湯の量をそろえる
- 湯温と抽出時間をそろえる
- 熱いときと冷めたときの両方を比べる
飲み比べるときは、正解を当てようとする必要はありません。
「こちらの方がすっきりしている」「こちらは甘い香りが残る」など、自分が感じた違いを言葉にするだけでも、コーヒー選びがしやすくなります。
よくある質問
ウォッシュドは酸っぱいコーヒーですか?
ウォッシュドだから必ず酸っぱいわけではありません。
ウォッシュドは味の輪郭や酸味が分かりやすい傾向がありますが、焙煎度や産地、抽出方法によって印象は変わります。
酸味が苦手な場合は、中煎りや中深煎りのウォッシュドを選ぶと、甘さやコクとのバランスを感じやすくなります。
ナチュラルは甘いコーヒーですか?
ナチュラルは、果実感や甘さを感じやすい傾向があります。
ただし、砂糖を入れたような甘さではなく、果物や香りから感じる甘さです。
豆や焙煎度によっては、発酵感や個性的な香りが強く出ることもあります。
ハニープロセスには、はちみつが使われていますか?
一般的なハニープロセスでは、はちみつは使用されていません。
パーチメントの周囲に残る粘液質が、はちみつのような粘り気を持つことから、その名前が付いています。
初心者にはどの精製方法がおすすめですか?
すっきりした味が好きならウォッシュド、甘さや果実感を楽しみたいならナチュラル、両方のバランスを試したいならハニーが選択肢になります。
ただし、精製方法だけで決めず、焙煎度や味の説明も合わせて確認することが大切です。
精製方法はパッケージに必ず書かれていますか?
すべての商品に必ず書かれているわけではありません。
スペシャルティコーヒーを扱うショップでは、商品ページやパッケージに精製方法が記載されていることがあります。
記載がない場合は、ショップに確認すると教えてもらえることもあります。
まとめ
コーヒーの精製方法とは、収穫したコーヒーチェリーから種子を取り出し、生豆に仕上げるまでの方法です。
代表的な精製方法には、ウォッシュド、ナチュラル、ハニープロセスがあります。
- ウォッシュド:すっきりした口当たりと、分かりやすい味の輪郭
- ナチュラル:果実感のある香りと、しっかりした甘さ
- ハニー:すっきり感と甘さのバランス
ただし、コーヒーの味は精製方法だけで決まるわけではありません。
産地、品種、標高、焙煎度、抽出方法など、さまざまな条件が組み合わさって、一杯の味が作られます。
コーヒー豆を選ぶときは、精製方法を味の傾向を知るための手がかりとして使い、焙煎度や商品説明も合わせて確認してみてください。
精製方法や産地を見ながらコーヒーを選びたい方へ
東雲 Coffee Roastersで取り扱っているコーヒー豆は、すべてスペシャルティコーヒーです。
苦すぎず、酸っぱすぎない、毎日飲みやすい味わいを大切に、中煎り・中深煎りを中心に焙煎しています。
産地や焙煎度、味わいの説明を見ながら、自分に合うコーヒーを探してみてください。
